在宅介護・医療の提供時に経験されることの多い場面を特殊な方法で撮影し、飛沫の拡散状況を可視化しました。訪問看護・訪問介護等の提供にあたって参考にしていただけたら幸いです。(動画撮影協力:カトウ光研株式会社)
目次
1.療養者の咳
1−1.仰臥位:扇風機による換気を行わなかった場合
臥床時の飛沫は天井近くまで飛び、落下するまでに約30秒かかります。
1−2.仰臥位:扇風機による換気を行った場合
扇風機を「中~強」にして療養者の口元に当てると、飛沫は介助者の方に向かいにくくなります。
1−3.端座位
飛沫はまっすぐ飛ぶため、近い距離であれば、介助者がエプロン・ガウンを着用していればしっかり防護できそうです。しかし、肘までは飛沫がかかる可能性があるため、手洗いは手指のみならず肘まで行うのが良さそうです。
1−4.立位:歩行介助時
手引き歩行の項をご参照ください。
2.起き上がりの介助
2−1.マスクをつけていないとき
療養者がマスクをせずに介助者がベッドから起こす際に咳をすると、介助者の顔面に飛沫がかかる可能性が高いことが分かります。
2−2.ガーゼマスクをつけているとき
療養者の方にガーゼマスクをしていただければ、多くの飛沫はカットでき、飛沫暴露のリスクを軽減できることが分かります。
3.体位変換
3−1.マスクをつけていないとき
体位変換の際に療養者の顔が介助者側を向いている場合、介助者の顔面に飛沫を受ける可能性があります。
3−2.サージカルマスクをつけているとき
体位変換時に療養者がサージカルマスクを着用していれば、飛沫への暴露のリスクは大幅に減少すると考えられます。
3−3.ガーゼマスクをつけているとき
ガーゼマスクしかなくても、(エアロゾルではなく)飛沫であればほとんどカットできると考えられます。マスクがない場合でも、室内にあるタオル・衣類などで療養者の口を覆うことが大切かと思います。
4.歩行介助
4−1.向き合った形での手引き歩行
手引き歩行を正面から行う際に療養者がマスクをしていないと、正面から飛沫に暴露する可能性があります。
4−2.後方からの介助
向き合う形での手引き歩行ではなく、(必要時歩行器などを使用しつつ)療養者の後方から介助をすることで、飛沫に暴露するリスクを低減させることができると思われます。
5.会話・呼吸
5−1.介助者がマスクを外して話すとき
耳が遠い方に対し、介助者がマスクを外して話をするときには、マスクで口腔内が湿潤環境になっているため、マスクを外した直後に介助者の飛沫が飛散する可能性があります。マスクは外さないか、あるいはマスクを外す必要がある場合は、唾を一度飲み込んでから外すのが良さそうです。
5−2.療養者が大きな声で話すとき
療養者が大声で話をする際には飛沫が飛ぶことがあります。飛沫は正面に飛ぶため、正面には入らず、左右どちらかの側面で話をすることを心がけるのが良さそうです。
5−3.ためいき(深い吐息)
今回の収録では、ためいき(深い吐息)の際に飛沫は確認されませんでした。
6.口腔ケア
歯磨き時、うがいの際にエアロゾルは発生していませんでした。しかし、しぶきとして飛ぶ飛沫には注意が必要です。マスクをつけていない場面での会話と同様に、正面からではなく、側面から介助する方がリスクは低いと考えられます。
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